カントリーリスクの意味とは?不動産投資で知っておくべきポイントを解説

2023.12.14不動産クラウドファンディング

カントリーリスクとは

カントリーリスクとは国際取引や海外投資において、投資対象国の政治的・経済的・社会的な不安定要因が原因となって起こる損失の可能性のことです。たとえば、戦争やテロ、政変やクーデター、デフォルト(債務不履行)やインフレーション、自然災害や感染症などがカントリーリスクの要因となります。投資先のカントリーリスクを正しく把握することは、海外への投資において非常に重要なポイントす。

カントリーリスクの影響

カントリーリスクは、海外投資に多くの影響を及ぼします。カントリーリスクが高い国では、信用リスクや通貨リスクのために、取引コストや資金調達コストが高くなりがちです。不動産投資においては保有している空室の発生、不動産価格の下落、不動産の毀損などの不利益を被る可能性が高くなります。

日本のカントリーリスク

日本は世界で最もカントリーリスクの低い国の一つといわれています。政治的、経済的に安定していて、先進的な技術や産業を持つためです。また、社会的にも平和であり、治安も良好です。しかし、日本は自然災害に対して脆弱であり、北朝鮮や中国との地政学的なリスクも存在します。投資対象を日本だけに集中させると、このようなリスクを負うことにもなりかねません。

カントリーリスクの指標

投資先の国のカントリーリスクを把握するには、格付け会社の格付けなどを参考にするとよいでしょう。主な格付けを発行している機関には、以下のようなものがあります。

格付け機関 内容 ランク評価の方法
経済協力開発機構(OECD) 各国の情勢に基づいて評価したカントリーリスク 最上位「A」、最下位「H」の8段階
日本貿易保険(NEXI) OECDの評価をもとにした国や地域の評価 最上位「A」、最下位「H」の8段階
スタンダード&プアーズ(S&P)グローバル・レーティング アメリカの大手格付会社S&Pによる企業や政府などの発行体と債券などの個別債務の信用力格付け 最上位「AAA」から最下位「D」
ムーディーズ カントリーシーリング S&Pと並ぶアメリカの格付会社ムーディーズによるソブリン債などの信用力格付け 最上位を「Aaa」から最下位「C」

カントリーリスクは絶えず変化するため、最新の情報や動向に注意を払うことが大切です。

カントリーリスクの要因

次に、主なカントリーリスクの要因を解説します。

経済情勢によるリスク

海外への投資は、対象の国の経済情勢に大きく影響されます。経済危機やインフレーション、デフォルトなどが発生した場合、資産の価値が下がったり、債権の回収ができなくなったりするおそれがあります。また、経済制裁や関税の引き上げなどの政策変更にも注意が必要です。経済情勢によるリスクの具体例として、1997年のアジア通貨危機、2009年のギリシャ危機などがあります。

政治情勢によるリスク

政治的な不安定さや紛争、テロなどは人命や財産の危機だけでなく、投資にも深刻な影響を及ぼします。政治的な安定性を欠く国では、資産の保全や契約の履行が確実でないおそれがあるためです。政治情勢によるリスクの具体例としては、2014年のタイの軍事クーデター、2021年のミャンマーの軍事クーデターが挙げられます。

社会情勢によるリスク

文化や宗教、言語、習慣などの違いへの理解が不足していると、コミュニケーションや交渉において誤解や摩擦を生むおそれがあります。投資を成功させるには、投資先の国の文化や商習慣への適応が必要です。社会情勢によるリスクの具体例としては、2012年の中国での日本製品不買運動などがあります。

自然災害のリスク

地震や津波、台風や火山噴火などの自然災害は予測が困難であり、人命や財産に大きな脅威を与えます。自然災害は政治や経済にも影響を及ぼし、投資にもさまざまな形で波及します。カントリーリスクの低いとされる日本も、自然災害においてはリスクが高いといえるでしょう。自然災害によるリスクの具体例としては、2021年のオーストラリアの大規模洪水などがあります。

不動産投資でカントリーリスクを回避する方法

海外での不動産投資は、成長の見込める地域で安定した収益を得られる魅力的な投資です。しかし、海外の不動産投資ではカントリーリスクも考慮に入れなければなりません。ここからはカントリーリスクを回避する方法を解説します。

投資先の国の情勢をチェックする

海外で不動産投資をするには、事前に投資先の国の情勢の詳細なリサーチが必要です。政治的な安定性や法律、治安状況などを把握し、投資リスクを検討します。また、先述した格付け機関が発表するカントリーリスクの格付も参考にするとよいでしょう。

為替の動向をチェックする

海外での不動産投資では為替の変動が収益に影響を及ぼすため、為替動向の把握は欠かせません。日本円に対して投資先の通貨が下落すると、物件の価格や家賃収入が日本円ベースで減少します。一方、日本円に対して投資先の通貨が上昇すると、物件の価格や家賃収入が日本円ベースで増加します。為替レートや金利差、経済指標のチェックを習慣づけましょう。

信頼できる不動産会社を見つける

海外の不動産投資では、日本国内または現地で信頼できる不動産会社と契約することが大切です。現地情報に精通し、不動産の選定や契約、管理や運営などを適切に行ってくれる会社を探しましょう。

分散投資をする

不動産投資では、特定の国や物件に集中して投資することを避けたほうが無難です。1カ国に集中して投資すると、その国で問題が発生した場合、大きな損失を被る可能性が高くなります。地域を分散させることで、カントリーリスクを軽減できます。

不動産投資のカントリーリスクを抑える分散投資の方法

不動産投資のカントリーリスクを抑えるには、分散投資が有効です。分散投資には地域の分散だけでなく、投資対象の分散という方法もあります。不動産と異なる特徴を持つ資産に投資することで、全体的な収益性の向上も期待できます。

不動産投資の投資先以外の国に投資する

海外不動産投資をしている人が他の資産にも投資する場合、不動産の投資先以外の国や地域に投資するとよいでしょう。たとえば、東南アジアの不動産と米国株式に分散投資するようなやり方です。

投資対象も地域も分散すると、特定の地域で発生したリスクの影響を緩和できます。また、成長の期待できる資産に投資して高い収益を狙うこともできるでしょう。

不動産投資と相性のよい資産

不動産投資をベースに分散投資をする場合、不動産投資と相性のよい資産を選ぶことが重要です。相性のよい資産とは、以下のような特徴を持つものです。

  • 不動産投資と補完的なリターン特性を持つ
  • 不動産投資と相関性が低い
  • 不動産投資よりも流動性が高い

これらの特徴を満たす資産を紹介します。

投資信託

投資信託は、運用の専門家が選んだ複数の銘柄に分散投資できる運用商品です。投資信託は個々の商品の運用方針によって、さまざまな種類があります。そのため、不動産投資と相関性が低く、弱点を補う商品を選びやすい点がメリットです。また、少額投資が可能で流動性が高いため、不動産投資との組み合わせに非常に適した資産といえます。

債券

債券は国や企業などの発行体が、投資家から資金を借りるために発行する有価証券です。決められた日に利子が支払われ、償還日には全額が払い戻されます。債券は不動産に比べてリターンが低いものの、損失リスクが低い特性を持ちます。そのため、不動産投資をする人がポートフォリオ全体のリスクを下げたい場合に、効果を期待できる資産です。

株式

株式とは、企業が事業に必要な資金を調達するために発行する有価証券です。不動産投資と相性のよい株式は、高配当銘柄や成長性の高い銘柄などです。株式は一般的に不動産より流動性が高く、高いリターンも狙えます。その一方で価格変動リスクが高く、不動産投資ほどの堅実な収益は見込めません。そのため、不動産と株式は相互補完的な関係にあるといえ、併用によってリスク軽減や収益向上を期待できます。

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