つみたてNISAから新NISAへの切り替えは手続き必須?切り替えの方法や新制度の特徴を解説
2023.11.07不動産クラウドファンディング2023年の税制改正大綱において、これまでの一般NISA・つみたてNISAの制度が抜本的に改正されることが発表されました。
2024年からスタートする新NISAでは、従来の制度にはないさまざまなメリットがあります。ただ、「すでにつみたてNISAを利用しているが、新しい制度にどのように切り替えればいいのか?」と悩む人もいるのではないでしょうか。
この記事では、現行のNISAから新NISAへの切り替えの手順や、新NISAが現行制度から進化したポイントなどについてご紹介します。
【結論】つみたてNISAから新NISAへの切り替え・移行は不要
現行のつみたてNISAから新NISAへの移行手続きは必要ありません。現行のNISAと新NISAは別物と考えた方が適切で、共存も可能、そもそも移行することはできません。
また、すでにNISA口座を開設している人であれば、同じ金融機関に自動的に新NISA口座が開設されます。新規に口座を開設する必要はなく、今の口座のまま新NISAを利用できます。現行のNISAを利用している人にとって、新NISAの利用に複雑な手続きは一切不要ということです。
つみたてNISAから新NISAへのロールオーバーはできない
これまで投資してきた商品について、「新NISAに移行してそのまま非課税で運用を続けたい」と考える人も多いでしょう。
しかし、つみたてNISAの商品を新NISAに移すことはできません。
現行制度で保有している投資信託は現行制度のまま保有し、最長20年の非課税期間が終了したあとは通常の口座に移されます。
ただ、これについてはデメリットではありません。
現行NISAと新NISAは分離されているため、非課税の投資枠も別になります。現行の非課税枠に加えて新NISAの枠(最大1,800万円)がプラスされることになるため、「非課税枠総額が減ってしまう」といったことにはなりません。
つみたてNISAと新NISAの併用もできない
新NISAは従来のNISAとは分離して管理されるというのはすでに紹介した通りです。
現在のつみたてNISAは2023年までで新規の買付が終了しますので、新NISAと併用して両方に積み立てることはできません。
つまり、「つみたてNISAで毎月33,333円(1年で40万円)の投資をしつつ、新NISAのつみたて投資枠にも月10万円(1年で120万円)投資する」といったことはできないので注意しましょう。
現行NISA・つみたてNISAと新NISAの違い
NISAは2024年から始まる新制度で、非課税投資枠の拡大や投資期間の無期限化をはじめ、制度内容が大きく拡充されます。
ここでは現行のNISA・つみたてNISA制度と、新NISAの違いを紹介します。
口座開設期間・非課税保有期間の恒久化
現行のNISA制度には、一般NISAで2023年までという期限があります。そのため制度をフルに活用できる世代が一部のみという欠点がありました。
しかし新NISAでは口座開設期間が恒久化されたので、期限を気にすることなく、年齢などの要件を満たせばいつでも口座開設が可能になります。
また、非課税期間も同様です。現行制度では一般NISAで5年、つみたてNISAで最長20年の非課税期間でしたが、新NISAでは無期限になります。期限を気にせず運用できるため、高配当株や投資信託を長期間保有したいと考える投資家のニーズにも応えるものとなります。
投資上限の拡大
現行制度と新制度を比べると、投資上限が以下のように大きく異なります。
【現行制度】
- 一般NISA:年120万円×5年=600万円
- つみたてNISA:年40万円×20年=800万円
【新NISA】
- 成長投資枠:年240万円
- つみたて投資枠:年120万円
- 非課税保有の総枠:1,800万円(うち成長投資枠が1,200万円まで)
従来のNISA制度と比較し、新NISAでは年間の投資上限が一気に増加したことが分かります。将来にわたる非課税限度額は1,800万円(うち1,200万円は成長投資枠)と、これまでよりかなり大きな金額を非課税で運用することが可能です。
つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能になる
現行の「一般NISA」と「つみたてNISA」は、いずれかを選んで運用する方式であり、併用はできませんでした。
その点でも新NISAは進化しており、「成長投資枠(現行の一般NISAに相当)」と「つみたて投資枠(現行のつみたてNISA」に相当)」の2つに並行して投資できるようになります。
つみたて投資枠で全世界に分散投資できる投資信託に投資しつつ、成長投資枠では成長性の高い日本やアメリカの企業の個別株に絞って非課税で投資することができるようになります。
現行つみたてNISAと新NISAの違い一覧
現行NISAとつみたてNISAの違いはすでに解説したとおりですが、「あまりにも変更点が多すぎてよく分からない……」と感じている方もいるのではないでしょうか。
これまで解説してきた内容を一覧表にまとめますので、現行制度との違いを把握したい人は参考にしてみてください。
新NISA | 現行NISA | |
年間投資枠 | ・一般NISA:120万円
・つみたてNISA:40万円 |
・成長投資枠:240万円
・つみたて投資枠:120万円 |
非課税期間 | ・一般NISA:5年
・つみたてNISA:20年 |
無期限 |
生涯投資限度額 |
・一般NISA:600万円
・つみたてNISA:800万円 |
1,800万円(うち1,200万円は成長投資枠) |
口座開設期間 | ・一般NISA:2023年まで
・つみたてNISA:2023年まで |
恒久化 |
投資対象商品 | ・一般NISA:上場株式・投資信託等
・つみたてNISA:長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 |
・成長投資枠:上場株式・投資信託等(整理・管理銘柄など除外商品もある
・つみたて投資枠:長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 |
対象年齢 | 18歳以上 | 18歳以上 |
参考:金融庁|新しいNISA
新NISAに切り替わる前につみたてNISAを始めた方が良い理由とは?
「新NISAの制度内容のほうが拡充されているから、投資を始めるのは2024年になってからの方が良い?」
という疑問をお持ちの方が多いようですが、運用資金に余力があるのであれば、投資を始めるなら新NISAに移行する前からの方がおすすめです。
仮に現在のNISA口座の非課税枠を使い切ったとしても新NISAの投資枠には影響がなく、つみたてNISAを始めておけばその分だけ非課税投資枠を増やせるためです。
NISAを始めたことがない方の場合、1日でも早く始めるほうが効率の良い資産形成を目指すうえでは有利です。
つみたてNISAから新NISA切り替えに関するQ&A
最後に、つみたてNISAから新NISAへの切り替えについて、初心者の方が悩みがちな内容についてQ&A形式でまとめました。
現行NISA制度で保有している商品はどうなりますか?
現行のNISA制度で保有している商品について、新しい口座にロールオーバーすることはできません。ただし、現行NISAと新NISAの口座は分離扱いとなり、資産を別々に保有することはできます。
つみたてNISAで保有する商品はそのまま保有をし続け、非課税期間が終了すると一般口座に移されます。
現在のつみたてNISAの資産を新NISAに移したい場合は、一度売却して現金化する必要があり、メリットはあまり感じられません。
新NISAを別の金融機関で始めることはできる?
2023年までの現行NISAとは別の金融機関で新NISAの投資を始める場合、新しい金融機関での新NISA口座開設手続きが必要です。
新NISAを新しい金融機関で運用するなら、「前年の10月1日〜変更年の9月30日まで」の間に手続きを完了させなければいけません。
また、1月1日以降に変更前の金融機関のNISA口座で1回でも積立をしていると、そのタイミングでの変更ができなくなるので注意しましょう。
まとめ
本記事ではつみたてNISAから新制度への移行の手続きや、新制度のメリット・デメリットについて解説しました。
すでにNISA制度を始めていて、同じ金融機関で新NISAに投資するつもりなら、特別な手続きは必要ありません。ただし、現行とは別の金融機関で新NISAを始める場合は金融機関の変更手続きが必要です。
ご自身がどの金融機関で新NISAを始めるかによっては手続きが必要になるケースもあるので、スムーズに投資が始められるように準備を進めていきましょう。
TECROWD運営事務局
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