不動産投資にかかる税金の種類を取得時・保有運用中・売却時に分けて解説
2023.10.30不動産クラウドファンディング不動産投資には5つのタイミングで税金がかかる
不動産投資には、その不動産の①取得時、②保有運用中、③売却時、④贈与時、⑤相続時においてさまざまな種類の税金が発生します。
この記事では、不動産投資にかかる税金の種類を、上記の5つのタイミングに分けて解説します。
不動産投資にかかる税金の種類(①取得時)
消費税
消費税とは、国内における資産の売買、貸貸借、業者から提供されるサービスへの対価にかかる税金です。
不動産投資の場合、不動産の購入代金や不動産業者の仲介手数料などにも消費税が課せられます。
【計算方法】
不動産の建築や購入等の対価×10.00%
(※)土地の代金にはかかりません。
固定資産税・都市計画税(日割り分)
不動産の売り主が既にその年分の固定資産税・都市計画税を課されている場合、売却後の日数分の固定資産税・都市計画税を日割り計算で按分して請求されることがあります。
【計算方法】
固定資産税評価額×税率(※)のうち、買い主が所有する日数分
(※)固定資産税の税率:標準税率1.40%、都市計画税の税率:制限税率0.30%
印紙税
印紙税とは、一定の課税文書を作成した場合、その作成者が納税義務を負う税金です。
不動産投資で作成される「不動産売買契約書」は課税文書(第1号文書)に該当するため、契約書の書面に契約金額に応じた収入印紙を貼付する必要があります。
書面で作成しない場合は、印紙税は発生しません。
【計算方法】
書面に記載された契約金額に応じた税額(消費税を区分している場合は、税抜きの金額で判定する)
(参考)国税庁HP:印紙税の一覧表
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7140.htm
(参考)国税庁HP:印紙税の軽減措置(令和6年3月31日まで)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7108.htm
不動産取得税
不動産を取得した者が都道府県税事務所に納める税金です。
取得から数か月後に都道府県が計算した金額での納付書が送られてきます。
※原則、所有者からの申告が必要です。
また、新築の賃貸用不動産には軽減制度があり、この制度を利用するには都道府県ごとに定められた申告書の提出が必要になります。
【計算方法】
不動産の価格(※1)×税率(※2)
(※1)市区町村の固定資産課税台帳に登録された額となります。(宅地や新築住宅などには軽減措置あり)
(※2)税率は下記のとおりです。
土地 | 家屋(住宅) | 家屋(非住宅) |
3.00% | 3.00% | 4.00% |
登録免許税
不動産の所有権移転登記などを申請する際に法務局に納める税金です。
登記申請を司法書士に依頼する場合、通常は司法書士が立替払いするため、司法書士報酬とともに請求されることが一般的です。
【計算方法】
所有権移転登記の場合の計算方法は、次のとおりです。
不動産の価額(※1)×1,000分の20(※2)
(※1)不動産の価格は市区町村の固定資産課税台帳に登録された額となります。
(※2)土地の売買は2026年3月31日まで1,000分の15を適用
不動産投資にかかる税金の種類(②保有・運用中)
所得税
不動産投資による賃貸収入から生じた所得(不動産所得)にかかる税金です。
所得税の確定申告によって、税務署に申告・納税します。
この時、確定申告書第2表の事業税・住民税に関する事項を記載することによって、事業税・住民税の申告が不要になります。
【計算方法】
・所得税の金額
(不動産所得を含むその年の合計所得金額−所得控除)×5.00%~45.00%
→上記に「税額×2.10%」の復興特別所得税が加わります。
・不動産所得
賃貸収入-必要経費
→青色申告者であれば、上記から青色申告特別控除を差し引くことができます。
事業税
確定申告した所得が「不動産貸付業」の基準にあたる場合、都道府県税事務所に納税する税金になります。
納税額がある場合は、毎年8月と11月に分割納付するよう納付書が送られてきます。
【計算方法】
不動産所得(事業税のための調整(※)あり)×5.00%
(※)青色申告特別控除など、事業税に適用できない制度の額を調整します。
住民税
不動産所得などに対して課される地方税で、都道府県税分も含めて市区町村が徴収します。
納税方法は人によって異なり、勤め先のある方は特別徴収(月給からの天引き)が基本となります。
【計算方法】
(不動産所得を含むその年の合計所得金額−住民税の控除)×10.00%
消費税
不動産投資によって建物を店舗やオフィスなど住宅以外の用途で賃貸しており、かつ、その課税売上高が毎年1,000万円を超える場合、消費税の課税事業者になる可能性があります。
消費税の課税事業者には、消費税の申告・納税義務が生じます。
住宅用として賃貸契約をしている場合、賃料は消費税の非課税売上になるため、1,000万円を超えても消費税の納税義務は発生しません。
【計算方法】
・本則課税
売上税額−仕入税額
・簡易課税
売上税額−仕入税額(売上税額×みなし仕入れ率40.00%)
固定資産税・都市計画税
毎年1月1日時点の不動産の所有者に市区町村から課される税金です。
市区町村から送付される納付書に基づき、原則年4回に分けて納税します。
不動産投資にかかる税金の種類(③売却時)
所得税・住民税
不動産の売却益である「譲渡所得」(売却金額から取得費や譲渡費用を差し引いた額)に対して発生します。
「不動産所得」と同様に、確定申告で税務署に申告・納税をします。
【計算方法】
・所得税
譲渡所得×税率(※)
→上記に「税額×2.10%」の復興特別所得税が加わります。
・住民税
譲渡所得×税率(※)
(※)不動産の譲渡所得の税率
売却年の1月1日時点における所有期間 | 5年以下 | 5年超 |
所得税 | 30.00% | 15.00% |
住民税 | 9.00% | 5.00% |
印紙税
「不動産売買契約書」を書面で作成する場合に発生します。
(※)「不動産投資にかかる税金の種類(取得時)」参照。
不動産投資にかかる税金の種類(④贈与時)
贈与税
不動産の贈与を受けた側に発生する税金です。
税金の計算方法には、暦年課税と相続時精算課税があり、贈与相手が成人のお子さんやお孫さんであれば後者の相続時精算課税を選択することができます。
暦年課税であれば、贈与年の翌年3月15日までに税務署に申告・納税します。
相続時精算課税を適用する場合は、同日までに、必要書類とともに相続時精算課税を選択するための届け出をする必要があります。
不動産取得税
不動産の贈与を受けて取得した者に発生する税金です。
(※)「不動産投資にかかる税金の種類(取得時)」参照。
登録免許税
不動産登記の申請時に法務局に支払う税金です。
【計算方法】
不動産の価額×1,000分の20
不動産投資にかかる税金の種類(⑤相続時)
相続税
不動産を相続によって取得した遺族などに発生する税金です。
相続開始を知った日の翌日から10カ月以内に税務署に申告・納税します。
【計算方法】
相続税の課税対象となるすべての財産の課税価格の合計額から基礎控除(3,000万円+法定相続人の数×600万円)を差し引き、その額を法定相続分ごとに分けて税率(10.00%~55.00%)を乗じて計算します。
不動産投資の場合、建物は貸家、土地は貸家建付地として評価した金額から課税価格を計算します。
贈与時に相続時精算課税を選択した不動産は、相続税の課税価格に加算されます。
登録免許税
不動産登記の申請時に法務局に支払う税金です。
2024年4月以降、相続によって不動産を取得した場合、相続による取得の事実を知ったときから3年内に相続登記(所有権移転登記)をすることが義務化されます。
【計算方法】
不動産の価額×1,000分の4
まとめ
不動産投資にかかる税金の種類を取得時、保有・運用中、売却時の3つのタイミングに分けて詳しく解説しました。
各税金には計算方法や特定の条件があり、不動産投資家はこれらを理解し、適切に申告・納税する必要があります。税金の取り扱いについての詳細は、税務署や専門家との相談が重要です。
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