不動産投資クラウドファンディングの仕組みとメリット・デメリットを解説

2023.07.24不動産クラウドファンディング

不動産投資クラウドファンディングとは

不動産投資クラウドファンディングとは、不動産小口化商品の一つです。

その投資対象は、不動産を賃貸や売却で運用する事業を証券化した商品(ファンド)であり、出資した各投資家は、その不動産事業から発生した収益の分配を、各自の出資分に応じて受け続けることができます。

もちろんクラウドファンディングですので、インターネットから非対面で投資することが可能です。

不動産投資クラウドファンディングの仕組み

不動産特定共同事業法による許認可事業で運用されている

不動産投資クラウドファンディングによって、投資家の大切な資金を預かり、不動産を運用することができるのは、不動産特定共同事業法(FTK法)による許可を受けた「不動産特定共同事業者」のみです。

2017年のFTK法の改正によって、インターネットを通じた申し込みとマッチさせやすくなったことを機に、近年、不動産投資クラウドファンディングの市場は急速に伸びています。

(画像出典)国土交通省:不動産特定事業(FTK)の利活用促進ハンドブック(令和4年10月)より

不動産投資クラウドファンディングは「匿名組合型」

不動産投資クラウドファンディングの多くは、不動産特定共同事業者を「営業者」とし、出資者である投資家を「匿名組合員」とする、商法の「匿名組合型」という仕組みによって不動産を運用しています。

「匿名組合型」による不動産投資クラウドファンディングの場合、不動産そのものの所有や運用といった事業全般は、営業者(不動産特定共同事業者)が行います。

匿名組合員(投資家)は出資するのみで事業には関与しません。

そのため、投資家の氏名等が事業において表にでることはなく、投資家が事業に対して負う責任も有限責任で、出資した金額を超える損失を負う心配はありません。

「不動産に投資はしたいけれど、自身が事業者として責任を負う立場になりたいわけではない」というニーズに、不動産投資クラウドファンディング(匿名組合型)の仕組みはとてもマッチしています。

不動産投資クラウドファンディングと他の投資方法の違い

不動産投資クラウドファンディングの特徴をより深く知るには、他の不動産投資方法とは異なる特徴を理解することが大切です。

ここでは、現物の不動産投資、REIT、ソーシャルレンディングとの違いを解説します。

不動産投資(現物への投資)との違い

通常の不動産投資の場合、投資家自身で不動産を購入し、自らが事業主としてその不動産を運用管理しながら賃貸収入等の収益を得ます。

発生した収益はすべて自身に還元されますが、事業で発生した損失もまた、すべて自身で負わなければなりません。

不動産投資クラウドファンディング(匿名組合型)であれば、投資家は事業には関与せず、事業責任は出資額に限定されます。

REIT(リート)との違い

不動産投資クラウドファンディングとREIT(不動産投資信託)は、どちらも不動産を証券化した、不動産小口化商品です。

しかし、投資家目線で比べると、その投資対象に違いがあります。

まず、REITは上場している金融商品であり、数百億~数千億円といった大規模な不動産事業を小口化しています。

そのため、REITの投資対象は、商品(ファンド)の指針にしたがって複数の不動産に分散投資されており、投資家が個別に投資する不動産を選ぶことはありません。

これに対し、不動産投資クラウドファンディングは、REITでは扱いにくい数千万円~数十億円ほどの小規模な事業で商品をつくることが一般的です。

「商品名(ファンド名)=物件名」のような場合も多く、投資対象が投資家にわかりやすいことも、不動産投資クラウドファンディングの特徴になります。

例えば「〇〇市のマンションに投資してみたい」というような細かいニーズに対しても、不動産投資クラウドファンディングなら対象商品を見付けられる可能性があります。

ソーシャルレンディングとの違い

不動産投資クラウドファンディングとソーシャルレンディングは、どちらもクラウドファンディングの仕組みによる投資方法ですが、投資先の事業に違いがあります。

不動産投資クラウドファンディングは不動産事業への投資ですが、ソーシャルレンディングは貸金業への投資であり、その収益は貸付先が支払う利息になります。

「お金を貸しているだけなら、相手に元金の返済義務があるから安心だ」と思われるかも知れませんが、ソーシャルレンディングの場合、貸付先が倒産すれば、当然、元本割れが起こります。金融庁のホームページでも、利回りが高い商品では借り主の返済遅延やデフォルト(貸し倒れ)のリスクが高くなることについて注意喚起をしています。

不動産投資クラウドファンディングにおいても、不動産価値の変動によって元本割れのリスクがあります。

ただし、多くの不動産投資クラウドファンディングでは、後述する「優先劣後出資」の仕組みで、投資家の損失を抑える工夫がなされています。

不動産投資クラウドファンディングのメリット

少額から投資できる

不動産投資クラウドファンディングであれば、ファンドごとに定められた最低金額(1口あたりの金額)から投資することができます。

例えば、1人では投資することが難しい人気エリアの10億円のタワーマンションでも、不動産投資クラウドファンディングなら「〇〇マンション:10万円×10,000口(計10億円)」のように小口化されますので、投資家は、自身の資産状況に合わせて、好きな金額で出資することが可能です。

不動産を運用管理するノウハウが不要

不動産投資クラウドファンディング(匿名組合型)では、投資家は事業に関与しません。

建物のメンテナンス、入居者募集や契約など、事業の知識や経験を必要としないことから、不動産経営のためのノウハウやコネクションを持たない投資家でも始められます。

投資先の不動産を選びやすい

多くの不動産投資クラウドファンディングの商品は物件ごとに組成されています。

投資したいエリアの不動産や投資したい事業用の不動産などを、現物の不動産投資をするように選ぶことができます。

遠方の不動産や海外の不動産にも投資しやすい

不動産投資クラウドファンディング(匿名組合型)であれば、投資家は事業をプロに完全に任せることができます。

そのため、遠方にある不動産や、言語や文化の異なる海外不動産などにも手軽に投資することが可能です。

インターネットで投資できる

不動産投資クラウドファンディングであれば、インターネットから投資することができます。

投資家は商品を比較しながら、ご自身のペースで投資先の不動産を選ぶことが可能です。

なお、出資枠は、原則的には早い者勝ちですので、人気物件ほど目標金額に達するまでの期間が短くなります。

募集開始前の情報収集や、先行抽選をうまく利用することがポイントです。

優先劣後出資を採用している場合が多い

優先劣後出資とは、事業者が投資家と同じ不動産に出資(劣後出資)をし、損失が発生した場合、投資家の出資分より先に事業者側の出資分(劣後出資分)から損失を負担するという、出資に優先順位を付ける仕組みのことです。

万が一、不動産の価値が下がった際、投資家の元本割れリスクを抑制するための工夫になります。

劣後出資は、多くの不動産投資クラウドファンディングで活用されており、通常、総出資額の5%~20%ほどの範囲で、リスクに応じて設定されます。

不動産投資クラウドファンディングのデメリット

運用期間がある

不動産投資クラウドファンディングには、数ヶ月~数年の運用期間があらかじめ設定されており、その間は、原則的に出資額の引き出しはできません。

資金を早く引き出したい場合は、数か月~1年ほどの短い運用期間の商品に応募しましょう。

投資としてのリスクがある

すべての投資において元本割れのリスクは必ず存在します。

不動産投資クラウドファンディングも同じです。

ただし、不動産投資クラウドファンディング(匿名組合型)は有限責任であり、かつ、多くの商品に優先劣後出資の仕組みがあります。

税制面の優遇は低い(匿名組合型)

不動産投資クラウドファンディング(匿名組合型)によって個人に分配された運用益は、総合課税の雑所得に分類されます。つまり、他の総合課税所得と合算して、所得税5%~45%(+住民税10%)で課税されるということです。

分離課税が適用される金融商品のような優遇や、不動産を自身で所有する場合の優遇が受けられないため、所得税や相続税の節税には向いていません。

節税目的ではなく、投資できる物件の魅力、匿名性や限定的なリスクといった運用面のメリットで選ぶとよいでしょう。

不動産投資クラウドファンディングの運営会社の選び方

不動産投資クラウドファンディングでは、運営会社の選び方も重要です。

ここでは、投資家が運営会社を選ぶためのポイントを紹介します。

運営会社の情報

まずは、運営会社そのものの情報を見るようにしましょう。

運営会社は、不動産特定共同事業法(FTK法)の許可を受けていなければなりません。

許可を受けている会社名は、国土交通省のホームページで確認できます。

実績が豊富

不動産投資クラウドファンディングの取扱い件数が多い運営会社を選ぶようにしましょう。

特に良い運営会社は、過去の不動産投資クラウドファンディングの達成状況を公開している会社になります。

過去の不動産投資クラウドファンディングを達成した実績を公開していれば、投資家からの信頼が高い会社であることの判断材料になりますし、どのような不動産事業のノウハウが豊富にあるのかも判断しやすくなります。

リスク情報の開示範囲

不動産の所在地、建物のコンセプト、想定利回り、運用期間、最低投資金額といった、投資家の利益にかかわる情報はもちろんですが、投資家が負うリスクについての情報がわかりやすく開示されているかどうかもチェックしましょう。

特に、優先劣後出資があるか、匿名組合型であるかは、必ずチェックします。

まとめ

不動産投資クラウドファンディングの仕組みや他の不動産投資法との違い、メリット・デメリットなどについて解説しました。

テクラウドでは、国内の不動産はもちろん、人気の高い新興国の不動産経営についても豊富な実績があります。

特に海外の不動産投資クラウドファンディングに興味がおありでしたが、ぜひテクラウドのご利用をご検討ください。

TECROWDの不動産クラウドファンディング

タグ : 不動産クラウドファンディング
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