老後の年金は毎月いくらもらえる? 年代別や男女でどれくらい違うか解説

2024.03.18不動産クラウドファンディング

老後の年金は毎月いくらもらえる? 年代別や男女でどれくらい違うか解説

年金額の決まり方

老齢年金は、国民年金(老齢基礎年金)と老齢厚生年金の「2階建て」となっています。国民年金は20歳以上60歳未満の全国民が加入する年金制度で、個人事業主やフリーランスは国民年金のみの加入となります。一方、厚生年金は会社員や公務員が加入する国民年金の上乗せの年金制度です。国民年金と厚生年金は年金額の決まり方が異なります。それぞれの保険料と年金額について見ていきましょう。

国民年金は保険料払込月数によって

国民年金は保険料が一律なため、年金額は保険料を払い込んだ月数によって決まります。国民年金に最長の40年間(480カ月)加入すると、65歳以降に受け取る年金が満額となります。満額の年金額は毎年異なり、2023年度では67歳以下の年金額は月額6万6,250円、68歳以上は6万6,050円です。たとえば、65歳で保険料の払込月数が456カ月の人の年金額は、以下のように計算します。

 

6万6,250円 × 456カ月 ÷ 480カ月 = 6万2,937円

 

参照:令和5年4月分からの年金額等について|日本年金機構

厚生年金は加入月数と収入によって

厚生年金の年金額は加入期間中の給与や賞与の額によって決まるため、収入の多い人の年金額が多くなる仕組みです。保険料は、標準報酬月額という給与を社会保険料計算のために等級分けした金額で決まります。厚生年金の受給額は「報酬比例部分」と「加給年金」の合計です。報酬比例部分は加入期間中の給与によって決まる年金で、加給年金は65歳未満の配偶者がいるようなケースで受け取れます。

公的年金の平均受給額をデータから紹介

公的年金は老後の生活の柱となるため、いくら受け取れるか気になる人も多いでしょう。実際の受取額には個人差がありますが、平均的な受給額を紹介します。

夫婦世帯の標準モデル

日本年金機構が老齢基礎年金の年金額の改定時に、夫婦2人分の標準的な厚生年金の年金額を公表しています。2023年度の夫婦世帯の標準的な厚生年金額は、22万4,482円です。このモデルは夫が会社員、妻が専業主婦の世帯で、夫の老齢厚生年金と夫婦2人分の老齢基礎年金の合計となっています。

年代別の平均受給額

年金額は年代によって受給額に差があります。そこで、年代別の年金受給額を見てみましょう。なお、老齢厚生年金は老齢基礎年金を含んだ金額です。

老齢厚生年金 老齢基礎年金
65歳~69歳 14万4,322円 5万7,829円
70歳~74歳 14万2,779円 5万7,084円
75歳~79歳 14万6,092円 5万6,205円
80歳~84歳 15万4,860円 5万6,139円
85歳~89歳 15万9,957円 5万6,044円
90歳以上 15万8,753円 5万1,974円

出典:厚生労働省「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」より

老齢基礎年金では、年代による受給額の差は認められません。しかし、老齢厚生年金は、年代が上がると受給額も上がることがわかります。これにより、今後受給する世代の厚生年金額は徐々に減っていくと考えられます。

男女別の平均受給額

老齢年金の男女別の受給額も見ておきましょう。こちらも老齢厚生年金は老齢基礎年金を含んだ金額です。

男性 女性
老齢厚生年金 16万3,875円 10万4,878円
老齢基礎年金 5万8,798円 5万4,426円

出典:厚生労働省「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」より

老齢厚生年金の男性と女性の平均の受給額には、大きな差があります。女性は厚生年金加入期間が短い、または男性に比べて給与水準が低いなどの理由が考えられます。老後に女性がひとりで生活する場合、生活費の不足分を早くから準備する必要があるでしょう。

将来の年金額を知る方法

将来の年金額を知る方法

老後資金準備の目標を立てるには、将来受け取るおおよその年金額の把握が必要です。ここでは、自分の受け取る年金額を知る方法を解説します。

ねんきん定期便

ねんきん定期便は国民年金・厚生年金の加入者宛てに毎年1回、誕生月に送付され、年金見込額や保険料納付の実績などがわかります。ねんきん定期便に記載されている将来受け取る年金額の内容は、50歳未満の人と50歳以上の人で異なります。

50歳未満の人のねんきん定期便に記載されているのは、これまでの加入実績にもとづいて計算された年金額です。そのため、実際に受け取る年金額よりずっと少ない金額であり、将来的に保険料を支払っていくと徐々に増えていきます。

これに対し、50歳以上の人のねんきん定期便には、現在の加入条件が60歳まで継続すると仮定した年金の見込額が記載されています。

ねんきんネット

ねんきんネットでは自分の年金加入記録や加入実績に応じた年金見込額を、24時間いつでも確認できます。それだけでなく、条件を変えての年金見込額の試算も可能です。ねんきんネットを利用するには、日本年金機構のホームページ、またはマイナポータルから利用登録をします。

もらえる年金を増やす方法

もらえる年金を増やす方法

将来受け取る老齢年金だけで生活するのが難しい場合、早めの準備が大切です。対策の1つに年金を増やすことが考えられます。ここでは、年金を増やす5つの方法を紹介します。

未納分を追納する

過去に国民年金保険料の学生納付特例や免除・納付猶予を受けた人は、未納分を追納できます。免除・納付猶予などの期間は受給資格期間に含まれますが、年金受給額には反映されません。追納によって老齢基礎年金の年金額を増やせます。

また、追納した保険料は社会保険料控除の対象となり、所得税や住民税の負担を軽減できます。ただし、追納ができるのは、追納が承認された月の前10年以内の未納分に限られる点に注意が必要です。

付加年金に加入

国民年金の第1号被保険者または任意加入被保険者は付加保険料(月額400円)を支払うと、老齢基礎年金に付加年金が上乗せされます。付加保険料によって増額される年金額は、「200円×付加保険料納付月数」です。

たとえば、10年間付加年金に加入した場合、支払う付加保険料の総額は4万8,000円(400円×120カ月)です。これに対し、上乗せされる付加年金(年額)は2万4,000円(200円×120カ月)で、わずか2年で支払った保険料の「元が取れる」ことになります。

国民年金の任意加入

未納期間のために国民年金を満額受給できない人は、60歳から65歳になるまでの間の任意加入によって年金受給額を増額できます。任意加入期間中はiDeCo(個人型確定拠出年金)にも加入できるため、さらなる年金の上乗せも可能です。

ただし、老齢年金の繰上げ受給をした人や60歳以降も厚生年金に加入して働く人は、国民年金に任意加入できません。

参照:有識者によるiDeCoのコラム#9 法改正でますます拡充2023年からiDeCoはどう変わる?

60歳以降も厚生年金に加入して働く

厚生年金は70歳になるまで加入できるため、60歳以降も再雇用などで厚生年金に加入して働き続けると、将来の受給額を増やせます。厚生年金に加入している人は、国民年金の任意加入者と同様に65歳になるまでiDeCoに加入できます。

公的年金を繰下げ受給する

老齢年金は原則として65歳から受け取れますが、希望により66歳以降75歳までの間で繰り下げての受取も選択できます。繰り下げて受給する場合、繰り下げた月数1カ月あたり0.7%年金額が増額され、増額された年金を一生涯受け取れます。繰下げによる年金の増額率は70歳から受け取る場合は42%、75歳から受け取る場合で84%です。繰下げを選択する場合、繰下げ期間中の生活費をどのように手当てするかを考えなければなりません。何歳まで働くかも含め、老後の生活設計を慎重に考えましょう。

投資で資産を増やすのもおすすめ

物価上昇や年金の見込額を考えると、年金だけで生活するのは難しい人が多いでしょう。公的年金を増やすのも1つの方法ですが、それだけでなく、投資で老後のための資産を準備することも有効です。たとえば、不動産への投資はインフレにも対応できるため、老後資金準備に適しています。しかし、不動産を購入して所有するには多額の資金もしくは借り入れが必要で、賃貸経営の労力もかかるため、万人向きとはいえません。最近では、直接の不動産投資ではなく、不動産クラウドファンディングのような小口の不動産投資が注目されています。不動産クラウドファンディングは投資家から集めた資金で運営会社が不動産を運用し、収益を分配するサービスです。1万円程度の少額から始められる案件もあり、運用のすべてを運営会社に任せられます。老後資金作りの第一歩として検討してはいかがでしょうか。

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