不動産投資ローンは固定金利と変動金利のどっちが有利? 選び方を解説
2024.01.23不動産クラウドファンディング不動産投資ローンとは
不動産投資ローンとは、収益用の不動産を取得する目的で利用されるローンです。マンションやアパートのような収益物件を購入し、第三者に貸し付けて家賃収入を得ることが前提となります。そのため、本人の返済能力の他に、物件の収益性や担保価値なども審査のポイントとなります。
不動産投資ローンのレバレッジ効果
不動産投資において、ローンは非常に重要な要素です。なぜなら、ローンを利用すると少ない自己資金でより大きな利益を得る、「レバレッジ効果」を期待できるためです。
借入の有無によるレバレッジ効果を、単純化した例で見てみましょう。自己資金1,000万円と、自己資金1,000万円と借入4,000万円の比較です。前提条件は以下のとおりです。
- 不動産投資の利回り:7%
- 不動産投資の経費率:20%
- 不動産投資ローン:元利均等30年返済・金利2%
自己資金のみ | 自己資金+借入 | |
購入可能な物件価格 | 1,000万円 | 5,000万円 |
年間家賃収入 | 70万円 | 350万円 |
年間収益 | 56万円 | 280万円 |
元利金返済 | 0円 | 177万円 |
キャッシュフロー | 56万円 | 103万円 |
この例では同じ自己資金でも、借入の活用で手元資金が2倍近く多く残ります。これが不動産投資のレバレッジ効果です。レバレッジ効果を高めるには低い金利で融資を受けること、高利回りの物件を取得することが重要です。
参照:【しっかり】借入返済額シミュレーション ─ 今すぐシミュレーションしてみよう! ─ 資金プランシミュレーション|知るぽると
不動産投資ローンと住宅ローンの違い
不動産を取得するためのローンには、住宅ローンもあります。住宅ローンは自分が住むための家を取得するためのローンであるのに対し、不動産投資ローンは購入した物件を第三者に貸し出して家賃収入を得るためのローンです。返済の原資も住宅ローンは本業の収入であるのに対し、不動産投資ローンは家賃収入となります。自分が住む家か他人が住む家かが最大の違いで、ローンの審査基準も異なります。
住宅ローンでは収益物件を購入できず、住宅ローン返済中の家を他人に貸すことは原則としてできません。
不動産投資ローンの金利の種類
不動産投資ローンの金利も住宅ローンと同様に、固定金利と変動金利から選べます。ただし、長期の固定金利型を取り扱う金融機関は限られている点に注意が必要です。
固定金利は借入期間中に金利が変動しない金利タイプで、固定金利選択型と全期間固定型の2種類があります。固定金利選択型とは一定期間は設定した固定金利で返済し、期間終了後は固定金利・変動金利のどちらかを選べるタイプです。一方、全期間固定型は返済中の金利が一定のタイプです。
変動金利は基準金利の変動に合わせて、一般的に半年に1回適用金利が変動します。
固定金利のメリット・デメリット
ここでは、不動産投資ローンの固定金利のメリット・デメリットを解説します。
固定金利のメリット
不動産投資ローンの固定金利には、以下のようなメリットがあります。
返済計画が立てやすい
固定金利の適用金利は融資の審査によって決まり、全期間固定型であればその金利が借入期間中ずっと続きます。最初に完済までの返済金額が確定するので、返済計画や生活設計を立てやすい点がメリットです。
収支の管理もしやすい
返済額が固定されると、収支管理がしやすくなります。不動産投資ローンの毎月の返済が金利上昇によって増えると、金額によっては家計のやりくりが難しくなるかもしれません。しかし、固定金利で返済額が確定していると、教育費のような他の大きな支出の計画も立てやすくなります。
金利上昇の影響を受けない
固定金利は返済中の金利が変動しないため、市場金利が上昇しても影響を受けません。近い将来の金利の上昇が想定される場合、返済額の変わらない固定金利が有利と考えられます。
固定金利のデメリット
固定金利には、以下のようなデメリットもあります。
変動金利より金利が高い
一般的に固定金利は変動金利に比べて、金利が高めです。また、固定金利の適用金利は、返済期間が長期になるほど高くなります。不動産投資ローンでは1%の金利差が、返済額に大きな差をもたらします。
たとえば、借入金額3,000万円の不動産投資ローンで元利均等30年返済の例を見てみましょう。適用金利が1%の場合の毎月の返済額は9万6,941円、2%の場合は11万885円となり、無視できない差といえます。
返済額が多くなってしまう点と返済額が変動しない点で、どちらをより重視するかが金利タイプ選びのポイントとなるでしょう。
変動金利のメリット・デメリット
多くの人が選ぶ変動金利のメリット・デメリットも知っておきましょう。
変動金利のメリット
変動金利には、以下のようなメリットがあります。
固定金利より金利が低い
変動金利は、固定金利に比べて金利が低い傾向にあります。昨今の超低金利のため変動金利なら有利な金利で借入ができ、返済額を抑えることが可能です。ローンの返済負担が軽減されるとキャッシュフローがよくなり、不動産投資の収益性がアップします。
変動金利のデメリット
変動金利における金利の低さは魅力的ですが、デメリットもあります。
金利が上昇して返済額が増えるリスクがある
変動金利は常に金利上昇のリスクにさらされています。金利が上がると返済負担が重くなり、不動産投資の収支も悪化します。特に借入期間が長期の場合、金利が何回も上がるリスクには注意が必要です。
不動産投資ローンの金利の選び方
以上の内容を踏まえ、不動産投資ローンを利用する際の金利の選び方を解説します。
返済額を固定したい場合
不動産投資ローンの返済額を長期間一定の金額に固定したい人は、固定金利が適しています。全期間固定金利を選択すれば、完済まで適用金利も返済額も変わりません。借入当初は余裕をもって返済できたとしても、さまざまなライフイベントが重なり、お金のやりくりが大変な時期もあるでしょう。そのような時期に金利上昇によって不動産投資ローンの返済額が増えると、家計の赤字につながりかねません。将来の支出の増加を避けたい人は、固定金利を選択しましょう。
物件の所有期間が長い場合・短めの場合
物件の所有期間が長くてローンの借入期間も長めの場合、固定金利が適しています。反対に短期間での売却を考えているような場合は、変動金利が有利と考えられます。借入期間が長期にわたると将来の金利変動の予測は難しく、金利上昇によって返済額が大幅に増えるリスクも想定しておくべきです。しかし、短期間の借入であれば、現在の低金利から著しく上昇する可能性は低いといえます。ただし、変動金利で借りた場合は常に金利動向を注視し、金利上昇に対応できるようにすることが大切です。
金利上昇リスクが心配な場合
借入期間中の金利上昇による返済額の増加が心配な人は、固定金利を選ぶほうが無難です。最近の金利水準で変動金利であれば、毎月の返済額を抑えて有利な不動産投資ができると期待できます。しかし、金利上昇によって返済額が増えたのに家賃は値上げできないとすれば、不動産投資の収支は悪化します。特に最近では長期金利が上昇傾向にあり、金利動向に不安をもつ人も多いでしょう。金利上昇リスクが懸念される場合、金利タイプは慎重に選びましょう。
参考:長期金利 0.97%に 約10年5か月ぶりの水準まで上昇 | NHK | 金融
余裕資金がある場合
手元資金に余裕がある人は、現状の低金利を活用して変動金利の不動産投資ローンを選ぶとよいでしょう。余裕資金があれば金利が上昇して返済額が増えても、返済を続けていけます。また、繰り上げ返済によるローンの金利負担の軽減もできるでしょう。低金利のうちは資金を残して融資を受け、別の投資で借入金利以上の運用益を得ることも可能です。資金に余裕があれば低金利のメリットを享受し、金利上昇のリスクにも対応しやすくなります。
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