固定資産税はいくらになる? 計算方法や減額特例の種類を解説
2023.12.11不動産クラウドファンディング固定資産税とは
固定資産税とは、1月1日時点の土地・家屋などの所有者に対し、市区町村が課税する地方税です。
土地や家屋などの所有において行政サービスを享受できることに対する、応益課税の考え方に基づいて徴収される税になります。
徴収された税金は、使途が定められていない「普通税」に該当するため、その地域のインフラや公共施設の整備、福祉サービスなどの財源として広く活用されます。
固定資産税の課税対象
固定資産税の課税対象は、土地・家屋・償却資産の3つです。
この記事では、土地と家屋の固定資産税を中心に解説します。
・土地
宅地、田畑、山林、原野、雑種地など、すべての地目が課税対象になります。
ただし、公共性の高い土地(例;一定の学校や福祉施設、鉄道関係、墓地、セットバックにより道路として利用されている部分など)にはかかりません。
・家屋
自宅のほか、賃貸している物件、事業用の店舗や工場、倉庫なども課税対象になります。
土地と同様に公共性の高いものにはかかりません。
・(参考)償却資産
会社や個人事業主が保有する事業用の固定資産のうち、一定要件を満たすものが該当します。
・免税点について
固定資産税には、土地・家屋・償却資産のそれぞれに、30万円・20万円・150万円の免税点が設けられています。
例えば、1月1日時点の土地の課税標準額の合計が30万円以下である場合、その年は、土地について固定資産税はかかりません。
固定資産税の納税時期
固定資産税は、市区町村の固定資産課税台帳に記載されている資産の所有者と、その資産の価格に基づいて課税されます。
徴収がはじまる時期は市区町村ごとに異なりますが、多くは6月頃からです。
毎年この頃になると、固定資産税の納税通知書・課税明細書・納付書が市区町村から送付されます。
受け取った納税義務者は、通知された固定資産税の金額を、通常、年4回に分けて納付します。
また、都市計画区域内にある土地や家屋については「都市計画税」も一緒に徴収されます。
固定資産税の計算方法
固定資産税の計算式は、下記の通りです。
【固定資産税の計算式】
固定資産の価格(課税標準)×税率
固定資産の価格(課税標準)とは
固定資産の価格や課税標準とは、個別の土地・家屋ごとに定められた、固定資産税の基礎となる金額のことです。
この金額は、総務省の固定資産評価基準によって算定された「固定資産税評価額」をベースに、市区町村が決定します。
固定資産の価格や課税標準を確認したい場合は、市区町村から納税者宛てに送付される課税明細書を見るか、固定資産課税台帳を閲覧する方法などがあります。
なお、固定資産評価額は3年に1度のペースで見直されることになっています。次の評価替えは、令和6年度です。
固定資産税の税率とは
固定資産税は、年1.4%の標準税率になります
ほとんどの市区町村で1.4%が採用されていますが、これより高い税率を適用しているところもあります。
固定資産税評価額がいくらになるか自分で計算するには
不動産の購入を検討している場合などで、固定資産税が大体いくらになるか知りたい場合があるでしょう。
税率については、その不動産が所在する市区町村のホームページなどですぐに確認できますが「固定資産の価格」については目安がわかりにくいと思います。
その場合は、下記の金額を目安にするとよいでしょう。
土地は地価公示価格の約70%が目安に
土地の価格は、その地目に応じて計算方法が異なります。
ここでは、市街地にある宅地の目安を計算する方法を紹介します。
市街地にある宅地の場合、その多くは、その宅地が接する道路の「路線価」に基づいて計算されます。
「路線価」とは、道路に付した価格のことであり、地価公示によって示された標準宅地の価格の7割を目途に設定されます。
このことから宅地の固定資産税評価額については、その宅地の付近に所在するなど条件が似ている宅地の1㎡あたりの地価公示価格を参考に、そのおおむね70%を、1㎡あたりの固定資産の価格の目安とすることができます。
地価公示価格は、国土交通省の「標準値・基準地検索システム」などから調べるとよいでしょう。
家屋は新築の50%~70%が目安に
家屋の価格は、再建築価格に基づいて計算されます。
再建築価格とは、その建物を再建築したらいくらになるかという考え方に基づき算定される価格のことです。
材質や性能などを点数化して計算した建築費を、経過年数や建物の状態に応じて減額補正します。
この計算方法によって家屋の固定資産税評価額を計算すると、家屋が新しい場合、おおむね建築費用の50%~70%になることが多いです。
住宅に関する固定資産税の減額特例
住宅用の土地や家屋の固定資産税には、その価格や税額を減額できる特例があります。
住宅用地(土地)の特例
住宅用地として使用されている土地の場合、その200㎡以下の部分は「小規模住宅用地」として課税標準額が6分の1に、それを超える部分は3分の1になる特例があります。
ただし、住宅の床面積の10倍がこの特例の限度になりますので、広い土地の一角に住宅を建築するなどしても、適用できない部分がでてくる可能性があります。
なお、アパートやマンションのような共同住宅の場合、「小規模住宅用地」の面積の判定は、1戸あたりの住宅用地の面積で行われます。
つまり「住宅戸数×200㎡」が「小規模住宅用地」になるため、敷地全体に6分の1が適用される可能性もあります。
【計算イメージ】
・住宅用地(価格3,000万円、面積200㎡)
・住宅用家屋(住宅専用(※)、床面積120㎡)
3,000万円×6分の1×1.4%=7万円
(※)非居住部分がある場合、特例の対象となる住宅用地の面積が減額調整されます。
新築住宅(家屋)の特例
新築された住宅については、家屋の固定資産税額が3年間(※1)にわたって2分の1に減額されます。
ただし、居住部分の床面積が50㎡以上(賃貸用は40㎡以上)かつ280㎡以下であることが必要です。アパート・マンションの場合は、独立した居住部分・専有部分の床面積に、共用部分の床面積を按分して加算し、判定します。
また、固定資産税の減額が適用されるのは、床面積120㎡の部分までに限られます。
【計算イメージ】
・新築家屋(価格3,000万円、床面積120㎡、住宅専用(※2))
3,000万円×1.4%×2分の1=21万円
(※1)新築された家屋が3階建以上の耐火・準耐火建築物に該当する場合は5年分になります。認定長期優良住宅に該当する場合は、令和6年3月末まで5年分(3階建以上の耐火・準耐火建築物に該当する場合は7年分)になります。
(※2)非居住部分がある場合、減税額は居住部分に調整されます。また、居住部分は2分の1以上必要です。
既存の住宅(家屋)の特例
既存の住宅についても、例えば、耐震リフォーム、バリアフリー改修、省エネ改修などを行った場合、家屋の固定資産税が減額される特例があります。
適用される改修工事の要件や、減額割合、減額年数などについては、各市区町村のホームページで確認しましょう。
固定資産税の計算がおかしいと思ったら
固定資産税の計算がおかしいと感じた場合、審査を申し出ることができます。
ごくまれに市区町村側が間違っていることもあり、過去には、過分に徴収された税額が還付された例もあります。
疑問点があるときは、役所に連絡してみましょう。
また、減額特例を正しく適用するには一定の書類を役所に提出しなければならない場合がありますので、その点にも注意が必要です。
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