不動産投資で見かける「利回り」の種類と計算方法をわかりやすく解説
2023.07.27不動産クラウドファンディング不動産投資における利回りとは
不動産投資における利回りとは、不動産に投資した金額に対して、1年間で何%の収入が得られるかの割合を示したものです。
不動産業者が仲介する不動産投資の各物件には、必ずといっていいほど投資対象の不動産の利回りが示されています。
利回りが高いほど、高いリターンが期待できますが、投資家は「本当にその高い利回りを実現できるのだろうか」、「その利回りを実現するために、どのようなリスクを負わなければならないのか」を考慮して投資判断を行わなければなりません。
不動産投資の利回りから正しく投資判断を行うには、まず不動産投資の利回りがどのように計算されているかを知ることが重要です。
不動産投資の利回りの計算方法
不動産投資の利回りの計算方法は、「表面利回り」と「実質利回り」に分かれます。
不動産業者が表示している利回りは、基本的に「表面利回り」です。
「表面利回り」と「実質利回り」のそれぞれの計算方法について、不動産を賃貸する場合を例に説明します。
表面利回り(グロス利回り)の計算方法
表面利回りとは、不動産の価値(取得価格)に対する、1年間の賃貸収入の額で計算する利回りのことです。
【表面利回りの計算例】
・不動産の取得価格(土地・建物・手数料などの代金):1億円
・1年間の賃貸収入:600万円(月額50万円×12か月分)
・表面利回り:600万円÷1億円×100=6%
実質利回り(ネット利回り)の計算方法
実質利回りとは、賃貸収入から不動産賃貸にかかる経費を差し引いた利益の金額から計算する利回りのことです。
不動産を賃貸するには、さまざまな経費がかかります。
【不動産賃貸にかかる経費の例】
・不動産の管理費(管理委託費、広告宣伝費、共用部分の水道光熱費など)
・火災などの保険料
・老朽化を防ぐための修繕費
・固定資産税などの税金
先ほどの例では年600万円の賃貸収入で表面利回りを計算しましたが、この賃貸について年200万円の経費が発生する場合、実質利回りは4%になります。
【実質利回りの計算例】
・不動産の取得価格:1億円
・1年間の賃貸収入:600万円
・1年間の経費:200万円
・実質利回り:(600万円-200万円)÷1億円×100=4%
実質利回りは、「実際にいくら儲かるのか」を表す利回りであり、投資家にとっては、表面利回りよりも重要になります。
不動産投資ローン利用者は「返済後利回り」に注意
不動産投資ローンを利用して賃貸収入から毎月返済する場合、賃貸収入から経費を差し引いた金額からさらに月々の返済額を差し引いた額が、現実の手取りになります。
返済額を差し引いた後の額から実質利回りを計算したものを、「返済後利回り」と呼ぶこともあります。
【実質利回り(返済後利回り)の計算例】
・不動産の取得価格:1億円
・1年間の家賃収入:600万円
・不動産賃貸の経費:年200万円
・不動産ローンの返済額:年240万円(月々20万円)
・返済後利回り:(600万円-200万円-240万円)÷1億円×100=1.6%
想定利回り・現行利回りとは
不動産投資の利回りには、「想定利回り」や「現行利回り」という計算方法もあります。
想定利回りとは
不動産投資における「想定利回り」とは、利回りの計算に使用する賃貸収入を、周辺相場から想定して計算した利回りのことです。
マンションやアパートなどで想定利回りを計算する場合は、満室状態を想定して計算します。
想定利回りは、表面利回りと同様に経費を差し引く前の賃料で計算されることが一般的ですが、賃料が想定額であることが特徴です。
賃貸が開始されていない、新しい不動産などで使用されます。
現行利回りとは
不動産投資における現行利回りとは、賃貸が開始されている不動産で使用されることのある利回りの計算方法です。
現行の賃貸収入から利回りを計算し、空き室があればそれを含めないため、想定利回りに対して、実績に基づく利回りであると考えることができます。
現行利回りにおいても表面利回りと同様に、経費を差し引く前の賃貸収入で計算されることが一般的です。
不動産投資の利回りを見るときの注意点
不動産投資の利回りの相場を知る
不動産投資の利回りの目安は、実質利回りで年3%〜5%程度です。
不動産投資における一般的なリスクに対し、このくらいの利回りが求められます。
参照:日本不動産研究所「不動産投資家調査」(2023年4月現在)
ただし、不動産投資の手法は多様化しており、リスクとリターンの選択肢は広くなっていますので、あくまで目安です。
投資する不動産の用途と需要を見る
不動産投資の利回りは、その不動産が所在する地域の需要や、不動産の用途による影響を受けます。
例えば、旅行客が増えており、宿泊施設への需要が伸びているエリアでは、ホテル事業用の不動産投資において高い利回りが期待できるようなイメージです。
利回りが低すぎる・高すぎる場合は理由を考える
不動産投資の利回りは、高いほど良いように思えますが、高すぎる場合は何らかの理由があります。
例えば、築年数の古い不動産では、年20%を超える破格の利回りの投資物件も存在します。
これは不動産が古く価格が安いため、周囲の賃料相場から表面利回り(想定利回り)を計算したことによって、計算上の利回りが高く表示されてしまっていることが考えられます。
このような不動産は、その古い状態で、本当にその利回りが実現できるかを見極めなければなりません。場合によっては、修繕やリフォームのコストがかかることもあります。
また、アクセスの良い地域にある不動産は、安定した需要が見込まれる良い投資対象ですが、そうしたエリアの不動産は投資額も高くなるため、利回りが何十%にも跳ね上がるようなことはありません。
例えば、都市部にあるアクセス良好な物件なのに、地方にある物件よりも利回りが低いことが多々あるのは、そういった事情が考えられます。
賃貸以外の不動産投資の利回りもある
不動産投資には、不動産の「賃貸」以外にも、例えば、住宅開発などのニーズの高いエリアに住宅地を開発し、開発後にそれらを売却するという、不動産の「開発」に対して投資する方法があります。
「開発」による不動産投資の場合でも、表面利回り(想定利回り)が表示されることは同じなのですが、開発と賃貸とでは、収益モデルが異なります。
同じ不動産投資とはいえ、単純に賃貸物件への投資と利回りを比較できません。
開発型の不動産投資の利回りは相場を調べにくいので、その開発プロジェクトの内容や、それを実施する業者の信頼性が重要です。
不動産投資を仲介する業者を調べる
不動産投資では、利回りと合わせて、不動産投資を仲介する業者の実績や評判を調べてみることも一つの方法です。
到底達成できない利回りで不動産を販売するような業者は、顧客の信頼を失い、悪い評判が立っていることも考えられます。
まとめ
不動産投資の利回りの種類や、その計算方法について解説しました。
まずは、ご自身が見ている利回りの種類・意味を知り、その上で、近い条件で行われている不動産投資の相場と照らし合わせることが大切です。
不動産投資の利回りの情報を上手く活用すれば、利回りの相場と比較することによって、その不動産投資が割安なのか割高なのか、判断する一つの材料になります。
TECROWD運営事務局
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