五輪を見据えるラクロス主将 ― GRIZZLIES金谷が語る未来へのビジョン
2025.10.10ファンドレポートTECROWDは、社会人ラクロスチーム「GRIZZLIES(グリズリーズ)」をスポンサーとして応援しています。
仕事と競技を両立しながら、日本ラクロス界を押し上げようと挑戦を続ける選手たち。
今回は、その中心人物であり主将を務める金谷洸希選手に、チームへの想いとこれからの展望を伺いました。

GRIZZLIES主将 金谷 洸希(Kanaya Hiroki)
平日は会社員として働き、週末は朝から晩までラクロスに全力を注ぐ。そんな日々を「やりがい」と言い切るのが、GRIZZLIES(グリズリーズ)の主将・金谷だ。土日両方の練習をこなし、平日の夜にはトレーニングを重ねる。普通なら「大変」と答えてもおかしくない生活を、彼は「価値ある挑戦」として楽しんでいる。
「どちらも手を抜きたくない。だからこそ両方をやるんです」
会社員として一番下の役職で働きながら、チームではトップとしてメンバーを導く。立場の違いを行き来する中で磨かれた視点や責任感は、彼をより強く、人間的に深みのあるリーダーへと成長させてきた。必死に走り続けるその姿は、誰にとっても「自分も頑張ろう」と思わせる力を持っている。ラクロスを知らない人にとっても、金谷の生き方そのものが共感の対象になるはずだ。
GRIZZLIESの創設と主将の使命
──GRIZZLIES創設の経緯を教えてください。
金谷:日本のラクロス界では長くFALCONS(ファルコンズ)とSTEALERS(スティーラーズ)という関東二強チームの体制が続き、世界を目指す選手はそのどちらかに所属するのが通例でした。 結果として、国内で強度の高い試合を経験できるのは限られた機会にとどまり、競争環境が不足していたんです。
関東リーグ戦の後、全国大会には必ず関東から2チームが出場できますが、そのリーグが11月、12月に固定され、二強で枠が固定化されると、6月から10月まで行われるリーグ戦の重要性が薄れてしまうという課題がありました。
そこで「第三の強豪チームを作り、競争を激化させる必要がある」と考えました。同じ思いを持つFALCONSやSTEALERSの選手を中心にGRIZZLIESを創設しました。
──既存の強豪チームに残るのではなく、自ら新しいチームに挑戦する決断をされました。その原動力は何だったのでしょうか。
金谷:FALCONSにいれば個人として成長できたかもしれません。でも日本ラクロス全体を見たとき、それ以上の未来は見えなかった。ならば、自分たちで環境を変えるしかない。課題を感じ、それを解決しようとする仲間がいたことも大きかったです。
「自分にできることだけをやっていても、日本ラクロスは強くならない」。そう思って挑戦を選びました。
──現在のチームにおける課題はどのような点でしょうか。
金谷:課題は内部と外部の両面にあります。内部では、若手選手が多く、世界基準の意識がまだ十分に浸透していないこと。幸いにもチームは昨年から負けなしで2連覇を達成していますが、チーム創設当初は2部リーグで1年、1部昇格後も1年勝てない時期があり、世界大会でも目標の3位以上には届かず5位に終わった悔しい経験があります。 しかし、最近加入した選手は日本一のGRIZZLIESしか知りません。その差をどう埋め、世界で戦える水準を作るかが課題です。
外部の課題は環境面です。毎週末、土日ともに練習を行っていますがGRIZZLIESには専用グラウンドがないため、練習場所は大学のグラウンドなどを借りている状況で、直前にならないと確定しない状況です。こうした不確実さが、チーム運営にとって大きな負担となっています。 資金面も自己負担が大きく、個人でも年間にかなりの支出をしています。
──主将として、チームマネジメントにおいてどのような点を意識されていますか。
金谷:チームマネジメントの難しさを感じていますが、日々「どうすればチームメイトに思いが伝わるか」を考え、試行錯誤しています。 私自身が直接若手に語りかけても、創設時の景色を知らない彼らには伝わりにくい。だからこそ、中堅や若手の幹部に私たちの目線を伝え、彼らを通じて下の世代に浸透させる工夫をしています。
仕事とラクロスの両立
──普段のお仕事とラクロスには、どのように向き合われていますか。
金谷:大前提として、どちらも手を抜きたくないという気持ちがあります。どちらかを言い訳にする生活はしたくありません。その中で、仕事が重要な時期とラクロスが重要な時期があり、その時々でバランスを取っています。
――職場ではラクロス選手としての特別扱いはなく、一人の社員として働かれているのですね。
金谷:はい、特別扱いは全くありません。1日の中で3〜4時間確保できれば、最低限必要なトレーニングとケアはできると考えており、その時間は確保するようにしています。 もちろん仕事がなければもっと練習できますが、世界のラクロス選手も皆同じように両立しているので、これが現実的なやり方だと思っています。
──仕事とラクロスが、お互いに良い影響を与えていると感じますか。
金谷:まさにその通りで、両方に取り組んでいるからこそ得られるものがあります。会社では一番下の立場ですが、チームでは主将として仲間を導く立場にいます。そのギャップがあるからこそ、マネジメントの視点も、逆に上司が何を考えているのかを推察する視点も養われます。切り取ればいろいろありますが、どちらにも活きることは間違いなくあります。
五輪・世界大会への挑戦
──チームとして、また金谷さん個人として目指していることをお聞かせください。
金谷:チームとしては、日本のラクロス界を牽引していく存在になることを目指しています。ただ日本一になるだけでなく、その先にある世界での日本の立ち位置を高め、ラクロスの認知度向上にも貢献できるチームでありたいです。
個人としては、2027年の世界選手権大会、そして2028年のロサンゼルス五輪が控えています。今の日本は世界で5位から8位のあたりですが、そこで実力を上げ、メダルを獲得できる世界3位以内に押し上げたい。そして、そのメダル獲得に自分が確実に貢献できたと言える選手になりたいと思っています。
───初心者でもラクロス観戦を楽しめるポイントはどんなところでしょうか。
金谷:やっぱりコンタクトプレーの激しさですね。ボールは小さくて速いのですが、人と人とのぶつかり合いは本当に迫力があります。実はそのコンタクトこそが、僕たちGRIZZLIESの強みでもあるので、ぜひ注目してほしいです。 まずは一度、会場で観てもらいたいです。生で観戦すると、体と体がぶつかり合う迫力を必ず感じてもらえるはずです。
インタビューを終える頃には、グラウンドは朝の光に包まれ、次々と選手たちが集まってきた。 金谷は私たちをチームメイトに紹介し、「応援してくれる人たちの想いを背負って戦おう」と声をかける。その一言に、主将としての責任感と、人を巻き込む温かさがにじんでいた。 その後に始まった練習では、若手が多いチームならではの活気と勢いがグラウンドを駆け抜けていった。 声を張り、全力で走る姿。笑顔を交わしながらも、ひとたびプレーに入れば真剣そのもの。 その空気の中心に立つ金谷の姿を目にしながら、「このチームなら未来を切り拓ける」と強く感じた。
金谷の挑戦は、一人の選手の夢にとどまらない。 「日本のラクロスを世界へ」という願いを胸に、両立を貫き続ける姿は多くの人を動かしている。 マネージャーが「誰よりも努力し、尊敬を集めるカリスマ性を持つリーダー」と評するように、 日々のトレーニングや毎回の食事管理に一切の妥協はない。 その一方で「真剣な時は真剣に、遊ぶときは遊ぶ」。 人間らしい温かさが、若い選手の多いチームを巻き込み、ひとつにしている。 そして彼が見据えるのは、2027年世界選手権と2028年五輪。 未来を信じて走り続ける金谷の姿は、日本ラクロスの未来そのものだ。
金谷 洸希(Kanaya Hiroki) 所属: GRIZZLIES 背番号11番 出身地: 東京都 生年月日: 1996年11月21日 出身大学: 千葉大学大学院 融合理工学部 ■所属歴 千葉大学(2015-2018) FALCONS(2019-2020) GRIZZLIES(2021-現在) ■世界大会出場歴 2018年世界選手権 2020年スプリング・プレミア 2022年ワールドゲームズ
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