ふるさと納税の仕組みとデメリットは? 損をしないために仕組みを知ろう
2023.11.09不動産クラウドファンディングふるさと納税は自分で選んだ自治体を寄付という形で応援できて、なおかつ魅力的な返礼を受け取れるという制度です。
しかし、仕組みに複雑な点があり、それを知らずに制度を利用すると、かえって損をしてしまうこともあるので注意が必要です。
この記事では、ふるさと納税で損をしないために、仕組みやデメリットについても分かりやすく解説します。
ふるさと納税の仕組みとメリット
ふるさと納税は、自分で選んだ自治体を応援するために寄付をすると、返礼品が受け取れる制度です。ふるさと納税をより深く理解するために、まずは仕組みやメリットを解説します。
返礼品が送られてくる
ふるさと納税は、自治体に寄付をすると返礼品がもらえ、寄付金額が所得税や住民税から控除される仕組みです。
返礼品は自治体によりさまざまな特産品が用意されていて、全国の自治体がさまざまな返礼品を用意しているため、自分に合うものを選ぶことができます。
自治体の返礼品の代表的なものは以下の通りです。
・肉や魚などの食品
・旅行
・ファッション用品
・家具や工芸品
・イベントのチケット
・日用品
返礼品の内容は自治体により大きく異なり、特産品や地元企業の商品が多いです。
返礼品がない純粋な寄付を受け付けている自治体もあり、利用者の考えに応じて寄付する内容を決定できます。
好きな自治体を応援できる
ふるさと納税は自分で好きな自治体を選んで寄付できます。
寄付をする自治体の数に制限はなく、複数の自治体を選ぶことも可能です。
全国約1,600の自治体から選択可能で、故郷の自治体や旅行で訪れた自治体、大規模な災害のあった自治体などを自由に選択できます。
ふるさと納税で自治体が受け取る寄付金は、利用者が使い道をある程度指定することができます。
自治体により、地域活性化や少子化対策・復興支援などの項目が用意されていて、寄付をする際に使い道を指定できます。
利用者が課題だと感じている項目を選べば、その地域の問題解決に役立てられると考えられます。
寄付金控除を受けられる
ふるさと納税で寄付した金額は、寄付金控除の対象になります。
寄付金控除とは、課税対象となる所得から寄付した金額を差し引ける制度です。
例えば、課税対象となる所得が300万円の人が、10万円の寄付をした場合、課税所得は290万円に減少します。
ふるさと納税の注意点
ここでは、ふるさと納税の注意点を解説します。
節税にはならない
ふるさと納税をしても、支払う所得税や住民税が減るわけではありません。
寄付した金額が控除されるというだけで、節税や税金対策にはならない点には注意が必要です。
また、寄付した税金が戻るのは翌年になるため、税金の前払いをしている形になることもあらかじめ理解しておく必要があります。
税金の総額を減らせると勘違いしている人もいますが、ふるさと納税は節税ではないと認識しておきましょう。
控除限度額以上は自己負担
ふるさと納税には、寄付金額の控除限度額があります。
控除限度額を超えた分は自己負担となるため、注意が必要です。
控除限度額は、収入や家族構成・保険の加入状況などにより異なります。
控除額シミュレーションサイトなどを利用して、事前に控除限度額を把握しておく必要があります。
2,000円を自己負担する必要がある
ふるさと納税では、2,000円が必ず自己負担となります。
自治体に寄付した金額のうち、2,000円を超える金額が所得税や住民税から控除される仕組みのためです。
例えば、30,000円を寄付した場合、2,000円を差し引いた28,000円が控除の対象となります。
申請や確定申告が必要
ふるさと納税をすると、寄付金控除を受けるために申請や確定申告が必要になります。
ただし、ワンストップ特例制度を利用すると、確定申告の必要がなく、簡単に申請ができます。
ワンストップ特例制度とは、ふるさと納税を受け取った自治体から利用者の住所地の市区町村へ、寄付金の情報が連絡される制度です。自治体に申請書を送るだけで手続きが完了するため、誰でも手軽に寄付金控除を受けられます。
ただし、以下の条件に当てはまると、ワンストップ特例制度は利用できません。
・確定申告をする必要がある人
・ふるさと納税をした自治体が5か所を超える人
確定申告はワンストップ特例制度と比べると手間がかかるため、初めての人にはハードルが高いと言えます。
確定申告不要な方が手間を掛けずにふるさと納税を利用したいのであれば、5か所までの自治体に留めてワンストップ特例制度を利用するといいでしょう。
自分が住んでいる自治体には寄付できない
ふるさと納税は、基本的に寄付する自治体を自分で選べます。
しかし、自分が住んでいる自治体に対して、ふるさと納税はできないため注意が必要です。
厳密には、自分が住んでいる自治体に寄付をすると、寄付金控除は受けられますが、返礼品は受け取れません。
返礼品を目当てにしてふるさと納税を利用する場合は、自分が住んでいる自治体は候補から外す必要があります。
ふるさと納税でデメリットがある人
ふるさと納税は、利用する人全員がお得になるわけではありません。
ここでは、ふるさと納税でデメリットがある人を解説します。
税金の支払い額が少ない人
ふるさと納税は、税金の支払い額が少ない人はメリットが少ないです。
控除する税金が少ないと、寄付できる金額も少なく、もらえる返礼品が限られるためです。
具体的には、以下のケースに当てはまる人です。
・独身または共働きで年収が150万円未満
・夫婦で配偶者に収入がなく年収250万円未満
上記のケースの場合、自己負担分2,000円を除く控除限度額は約6,000円です。
自治体が返礼品に使用できる経費は、寄付金額の3割までと定められていて、実質価格が1,800円ほどの品物しか受け取れません。
自己負担金額の方が上回ってしまい、デメリットが大きいといえるでしょう。
iDeCoをしている人
iDeCoをしている人は、ふるさと納税のメリットが少なくなる可能性があります。
iDeCoは、積み立てた金額が所得控除され、控除上限額が減る制度であるため、ふるさと納税の控除限度額にはiDeCoの掛金を考慮する必要があります。例えば、独身で年収500万円の人の控除限度額は約61,000円ですが、iDeCoで毎月10,000円の積み立てをしていると、控除限度額が58,000となります。
iDeCo利用者がふるさと納税による効率的な税額控除を受けるためには、掛け金の額を正確に認識の上、限度額計算を行うことが大切です。
ふるさと納税の流れ
ふるさと納税をする際は、控除上限額の確認や寄付する自治体を決める必要があります。
ここでは、ふるさと納税を実際に行う際の流れを解説します。
控除上限額を確認する
ふるさと納税の控除上限額は、自分の収入や家族構成などで変化します。
控除上限額は、ふるさと納税のポータルサイトなどで確認できます。控除上限額を超えると自己負担額が増えるため、お得に返礼品を受け取りたい人は注意しましょう。
自分の控除上限額を簡易的に知りたいのであれば、総務省の「全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安」がおすすめです。
寄付する自治体を決定する
寄付する自治体は、一般的に返礼品の内容で決めることが多い傾向にあります。
多くの返礼品は5,000円~数万円程度がボリュームゾーンで、さまざまな種類から選ぶことができます。
複数の返礼品をもらうことも可能で、5,000円と10,000円の返礼品を一つずつなど自由に選べます。
返礼品の充実度は自治体により異なります。複数の自治体の返礼品を比べるといいでしょう。
返礼品は自分で消費するだけでなく、お歳暮やお中元などの贈り物として利用する方も多くいます。
返礼品が届く
ふるさと納税の申し込みをしたら、返礼品が届きます。
美味しいものを食べる、旅行に行く、日用品で出費を減らすなど、存分に返礼品を活用してください。
返礼品と一緒に「寄付金受領証明書」と「ワンストップ特例申請書」も届きます。
これらの書類は、確定申告時などに必要となる可能性があるため、捨てることなく必ず保管してください。
寄付金控除の手続きをする
ワンストップ特例制度を利用する場合は、返礼品と一緒に届くワンストップ特例申請書を翌年の1月10日までに自治体に送付する必要があります。
ワンストップ特例制度を利用すると、確定申告をする必要がなくなります。
ワンストップ特例制度の対象とならない場合は、確定申告が必要です。確定申告は翌年の2月16日~3月15日の間におこないます。
確定申告に慣れていない人は、税務署などに相談しながら申告書の作成を進めましょう。
税金が控除される
確定申告をすると、当該年の所得税と翌年の住民税から控除を受けられます。
所得税は確定申告で指定した口座に還付され、住民税は翌年の住民税の支払額が減ります。
ワンストップ特例制度を利用すると、控除されるのは住民税のみですが、控除総額は同じです。
控除された金額を把握するには、毎年6月頃に送られてくる住民税決定通知書を確認しましょう。
まとめ
ふるさと納税は、自分が好きな自治体を応援するために寄付をすると、返礼品が送られてくる制度です。寄付した金額は、所得税や住民税から控除が可能です。
多くのメリットがあるふるさと納税ですが、税金の支払い額が減るわけではなく、控除限度額を超えると自己負担になるなどのデメリットもあります。
ふるさと納税の仕組みや申し込みの流れを把握して、お得に制度を利用してください。
TECROWD運営事務局
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